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アスベスト(石綿)関連疾患 その2

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1. 中皮腫

中皮腫は、肺を取り囲む胸膜、肝臓や胃などの臓器を囲む腹膜、心臓及び大血管の起始部を覆う心膜、精巣鞘膜にできる悪性の腫瘍です。発症頻度は胸膜原発のものが最も多く全中皮腫の75 〜90%、次いで腹膜の10 〜20%であり、心膜や精巣鞘膜の中皮腫は非常にまれです。

組織学的に上皮型、二相型、肉腫型、線維形成型に分類され、頻度もこの順に多く、上皮型の占める割合は50~70%です。喫煙と中皮腫発生との関連はみられません。

 

石綿ばく露との関連
胸膜中皮腫の男性例では80 〜90%に石綿ばく露が関与していますが、女性の場合には石綿ばく露の関与の割合は男性に比べて低いことが知られています。潜伏期間(初めての石綿ばく露から発症までの期間)は40 〜50年と非常に長く、20年以下は非常に少なく、10年未満の例はありません。胸膜中皮腫の発生の危険は石綿の累積ばく露量が多いほど高くなります。しかし、石綿肺、肺がんより低濃度でも危険性はあり、職業的なばく露だけでなく、家庭内ばく露、近隣ばく露による発症もあります。
腹膜中皮腫の場合には、男性例では高濃度ばく露や角閃石族石綿(青石綿、茶石綿)のばく露が多いことが知られています。他方、石綿ばく露歴がわからない割合は胸膜中皮腫に比べて多く、40%前後といわれています。特に女性の腹膜中皮腫では石綿ばく露歴が判る場合は30%以下ともいわれています。
石綿ばく露以外の原因
石綿と類似の天然鉱物繊維であるエリオナイトは中皮腫を発症させることが知られています。トルコやアメリカで報告例があります。
リンパ腫、ウィルムス腫瘍、前立腺がん等の放射線治療後に中皮腫が発症することも知られるようになりましたが、その危険性は非常に小さいとされています。
症状
胸膜中皮腫では、息切れ、胸痛が多くみられますが、症状がなく胸部エックス線検査で胸水貯留を偶然発見されることもあります。そのほか、咳、発熱、全身倦怠感、体重減少などもみられます。
腹膜中皮腫では、腹痛、腹部膨満感、腹水貯留などがみられます。
診断
胸部エックス線、胸・腹部CTなどの画像検査、胸水や腹水の穿刺による細胞診断、胸腔鏡や腹腔鏡等による病理組織診断が行われます。診断の確定には病理組織診断が必須ですが、診断は必ずしも容易ではなく、免疫組織(細胞)化学的染色※などにより、肺末梢部に発生する腺がんや非腫瘍性の胸膜炎などとの鑑別を要します。
治療・予後
中皮腫は他の悪性腫瘍に比べて、いまだ予後の悪い疾患ですが、最も頻度の高い上皮型に限ってみれば、外科療法、化学(抗がん剤)療法、放射線療法を加えた集学的療法により、以前よりははるかに予後が改善してきています。

※ 免疫組織(細胞)化学的染色:組織や細胞構成成分に対する特異的な抗体を標識抗体により認識し、対応する抗原の局在や組織構成成分を解析する手法。あるがんに特異的に発現している抗原を検出することで、他のがんとの鑑別が可能となる。中皮腫の陽性マーカーとしてカルレチニン、WT-1、D2-40 が、陰性マーカーとしてCEA、TTF-1、MOC-31、Ber-EP4 がよく知られており、これらを含めその他様々なマーカーを組み合わせて診断に用いられています。

以上、環境再生保全機構より